「原節子の真実」石井妙子氏

公開日: 更新日:

 撮影所では本ばかり読み周囲と打ち解けなかったことで、“取り澄ましている”“生意気な大根女優”などと批判の的にされたこともあった。しかし彼女は、こと演技に対しては驚くほど率直に意見を述べ、自分の姿勢を決して崩さなかった。

「やがて、名だたる監督たちが原節子で映画を撮りたいと願うようになります。彼女を生かせるのは自分しかいないと、対抗意識をむき出しにした男たちの争いも始まるほどでした。原節子という女優はただ絶世の美女だったというだけではなく、作り手の意欲をかき立てる魅力も秘めていたのでしょう」

 原節子が伝説たる大きな要素が、生涯独身を貫いたことだ。小津安二郎との純愛説や、義理の兄とのただならぬ仲など、彼女の周囲には常に“原節子の男は誰だ”という下世話な視線が付きまとった。

「“あれほどの美女に男がいないわけがない”というのが、世の男性たちの思いなのかもしれません(笑い)。しかし、彼女はもっと別の次元にいて、男性がいなければ幸せになれない女性ではなかった。小津安二郎に関しても出演作すら批判するなど、決して恋仲などではなかったようです」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景

  5. 5

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  3. 8

    三谷幸喜がスポーツ強豪校だった世田谷学園を選んだワケ 4年前に理系コースを新設した進学校

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋