ちょっと変わった読書術特集

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 この1年で、あなたは何冊の本を読んだだろうか。日本人の読書離れが進んでいるといわれるが、こんなときこそ本を読めば、同僚たちに差をつけられるというもの。とはいえ、忙しいサラリーマンは読書の時間を捻出するのもひと苦労だ。そこで今回は、ちょっと変わった読書術を指南する4冊を紹介。効率的かつ身になる読書の仕方が分かるはずだ。

「仕事で読まなければならない本があるのに、読むのが遅く時間もなくて進まない……」。こんな悩みを解決してくれるのが、印南敦史著「遅読家のための読書術」(ダイヤモンド社 1400円)だ。

 著者はニューズウィーク日本版など複数の情報サイトにブックレビュー記事を寄稿しており、1カ月に60冊以上の本を読んでいる。さぞや速読術にたけているのかと思いきや、実は大変な“遅読家”で、普通に読めば1ページに5分はかかってしまうほど。いったいなぜ、膨大な量の本を読むことができるのか。それは、“正しい流し読み”の方法を実践しているからだという。

 私たちは本を読むとき、無意識のうちにじっくりと熟読をしようとする。小説ならばそれもいいが、ビジネス書や自己啓発書の場合、すべてを頭に叩き込もうとする読書ほど無駄なものはない。なぜなら、「強く感動した!」という本でも、読後にしっかりと覚えていられるのはせいぜい1文か2文。読書の本当の価値は書かれていることの100%を頭の中に写し取ることではなく、価値を感じられるような1%に出合うことにあるのだ。

 本を速く読むためには、読み飛ばしても大丈夫な箇所、つまり“流し読みポイント”が分かるようになるといい。例えば、書かれていることの主張や理論を裏付けるための事例集や体験談は、読み飛ばしてもOK。たいていの本は、各章の導入部とまとめを読むだけで主張の大枠は理解できるように書かれている。また、読者の期待や不安をあおるような過剰すぎる表現が続く箇所、そして著者による自分語りの箇所もさほど大切なポイントではないので、積極的に読み飛ばそう。

 そうはいっても、読んでみないと読み飛ばしていい箇所が分からないという人は、まず目次だけを熟読するのがお勧め。目次とは、著者や編集者がその本の構造を明らかにするために記した“地図”であり、目次を熟読することで自分に必要そうな箇所の見当がつくようにもなる。

 他にも、その本から自分が何を得たいかを明らかにしてから読書を開始し、見逃したくないキーワードだけを追いながらその前後を読む方法も効率的な読書につながる。

 正しい流し読みの方法を身に付ければ、週6冊程度の読破も夢ではないぞ!

「読書は格闘技」瀧本哲史著

 読書はただ受動的に読むのではなく、著者の主張を疑い反証することが大切。自分の考えと著者の考え、あるいは主張の異なる2冊を戦わせながら読むことは、思考を進化させて“身になる”読書につながる。本書では、同テーマで異なるアプローチの本を2冊取り上げ、比較検討しながら読み解いていく。

 人の心のつかみ方を論じた本では、「人を動かす」(D・カーネギー著)が世界的ベストセラー。「まず褒める」「遠まわしに注意する」など道徳的で驚きは少ないが、普遍的な内容が丁寧につづられている。一方、本書のライバルといえるのが「影響力の武器」(ロバート・B・チャルディーニ著)。道徳的なアプローチとは真逆で、詐欺まがいなものも考察の対象としながら、人に影響されない方法も学んでいく。

 両方読むことで、人の心のつかみ方がより深く理解できるはずだ。 (集英社 1000円+税)

「死ぬ前に後悔しない読書術」適菜収著

 大量の情報を効率よく得るならば、速読術を学ぶのが手っ取り早い。しかし、知的武装のための読書では人間的な成長はないと作家であり哲学者の著者は一刀両断する。

 最近は答えの分かりやすいハウツー本に人気が集まっているが、このような本を手当たり次第に読むことが許されるのは子どものうちだけ。大人は複雑なことを複雑なまま説明する本、とくに古典を読めるようにならなければ、思考停止人間として一生を終わることになるとも警告している。

 ゲーテやニーチェの本を読むときは、重要だと思う部分や、著者の思考がつづられた部分に線を引いておき、後にパソコンに打ち込んでプリントアウトして持ち歩くのもお勧めだ。古典的名著のエッセンスや偉人たちの思考パターンに繰り返し目を通す習慣がつけば読書が人生観を変えることも実感できるだろう。

(KKベストセラーズ 1300円+税)

「魂の読書」清水克衛著

 ベストセラーの自己啓発本を何冊も読んでいるのに、成長を実感できない。そんな悩みを持つあなたは、読書の意義から見直す必要がある。

 読書の目的は物事に対する「問い」を見つけることにあるべきで、安易に「答え」だけを知ろうとしても身にならない。成長したいあなたが行うべきなのは、時代の常識が分かる「横糸の読書」ではなく、普遍的なものを知ることのできる「縦糸の読書」だ。「インターネットで楽々大儲け」といったノウハウ本などは横糸の読書に適しているが、時代や常識が変われば意味をなさなくなる。その点、縦糸の読書は今すぐには役に立たなかったり、耳が痛いことが書かれていることも多いが、自分の中に“揺るがない柱”を立てることに役立つのが本書。

「歴史を学ぶ」のではなく、「歴史に学ぶ」読書を心がけてみよう。(育鵬社 1400円+税)

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