最新面白マンガ特集

公開日: 更新日:

「沸点」チェ・ギュソク作、加藤直樹訳、クォン・ヨンソク監訳・解説

 マスコミも教育機関も軍部独裁政権の下僕と化していた、1980年代の韓国が舞台。主人公のヨンホは少年時代に反共産党教育を受けてきたが、大学入学後、民主化闘争に参加。デモや学生運動を武力で制し、拷問や殺人で言論を封じる政権に、人々の不満が次第に熱を帯びていくさまが生々しく描かれる。特に、ヨンホの母が息子の逮捕を機に、革命に覚醒していく姿は劇的だ。

 無知な田舎のオモニは、やがて集会でアジテーションするまで変貌を遂げる。国民の熱意が沸点に達し、大統領直選制をはじめとする民主化に成功したのが、87年6月。このマンガには、今の日本にも通ずる背景がある。

 現政権の不穏な動きを懸念する人は、勇気と屈しない心をヨンホの母から学び取れるだろう。(ころから 1700円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    さすがチンピラ政党…維新「国保逃れ」脱法スキームが大炎上! 入手した“指南書”に書かれていること

  2. 2

    国民民主党の支持率ダダ下がりが止まらない…ついに野党第4党に転落、共産党にも抜かれそうな気配

  3. 3

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  4. 4

    来秋ドラ1候補の高校BIG3は「全員直メジャー」の可能性…日本プロ野球経由は“遠回り”の認識広がる

  5. 5

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  1. 6

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  2. 7

    小林薫&玉置浩二による唯一無二のハーモニー

  3. 8

    脆弱株価、利上げ報道で急落…これが高市経済無策への市場の反応だ

  4. 9

    「東京電力HD」はいまこそ仕掛けのタイミング 無配でも成長力が期待できる

  5. 10

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー