「スノーデン、監視社会の恐怖を語る」小笠原みどり氏

公開日: 更新日:

 興味深いのは、スノーデンが2009年から10年にかけての2年間、東京都福生市に暮らし、米軍横田基地に勤務していたことだ。

「スノーデン氏はNSAの仕事を請け負うコンピューター会社の社員として来日。勤務先は米空軍横田基地にある日本のNSA本部の国防省日本特別代表部でした。主にハッキング対策の研究をしていたわけですが、米軍の無人機により殺される運命にある人々の監視映像をリアルタイムで見ていたことで、大変悩んでいたと語っていたのは氏の暴露を決意する背景との関係で興味深い証言だと思います」

 米国は友好国の法律の現状から、どうすればNSAの情報収集に協力させることができるかを綿密に分析把握していて、13年に成立した特定秘密保護法は、まぎれもなく、「米国がデザインしてつくられた法律である」とスノーデン氏は言明していたという。

 9・11以後、ブッシュ政権時に始まったNSAの「コレクト・イット・オール(世界中のすべての情報を収集する)」方針は現在も続いている。

「例外なく、私たちのメール、チャット、通話もNSAにコピーされています。リアルタイムですべて見ることはできないけれど、何かあったときにピンポイントで識別していくシステムが出来上がっていて、その中で怪しいと判断されれば“容疑者”となってしまい、黙らせるためには情報操作もいとわない。こうした監視体制に対して、日本人はあまりに危機感がなさすぎるのではないでしょうか。『自分には関係ない』と思っているうちに、権力側は秘密をどんどん増やしていく。そして気が付いたら、民主主義は完全に機能しなくなっていたと。そのことは、戦時中の特高警察の思想取り締まりや、隣組による密告、出版物の検閲などで総監視社会を実現し、日本を敗戦という破滅に導いた過去の歴史が証明しているはずです」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 4

    柳田悠岐の戦線復帰に球団内外で「微妙な温度差」…ソフトBは決して歓迎ムードだけじゃない

  5. 5

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    ローラの「田植え」素足だけでないもう1つのトバッチリ…“パソナ案件”ジローラモと同列扱いに

  3. 8

    ヤクルト高津監督「途中休養Xデー」が話題だが…球団関係者から聞こえる「意外な展望」

  4. 9

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 10

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?