日刊ゲンダイDIGITAL

  • facebook  
  • twitter  
  • Facebook Messenger

ワイセツ写真が露見してまた敗北 元民主党のエースの物語

 自業自得でキャリアを棒に振った男が再起をかけて人生に挑む。よくある話だが、ドキュメンタリーではまた違った趣になる。先週末から公開中の「ウィーナー 懲りない男の選挙ウォーズ」がまさにそれだ。

 主人公はニューヨーク州議会で民主党のエースと目されたアンソニー・ウィーナー。攻撃的な弁論術で共和党を叩きのめし、派手好きのNY市民に人気だったが、ネットで知り合った女に送った自分の裸の写真が漏れて辞職。妻の助けで再起をかけてNY市長選に出馬しながら、またもワイセツ写真が露見して窮地に追い込まれる。

 監督はウィーナーの元選挙スタッフで、その身内めいた目から見たウィーナーの姿がなんとも哀れを誘う。メディアの寵児を自任した男がメディアに突き回され、一発逆転をもくろみながら沈んでゆく――。そのなんともいえない感覚がドキュメンタリーならではだろう。

 フランク・パートノイ著「すべては『先送り』でうまくいく」(ダイヤモンド社 1800円+税)は、このウィーナーの例が「急いては事を仕損じる」の失敗例として繰り返し語られる。映画も市長選での敗北に沈むところで終わるが、現実はここで終わりではなかった。実はウィーナーの妻はヒラリー・クリントン子飼いの腹心。昨年の大統領選の最終盤、FBIに押収されたウィーナーのパソコンから妻のメールが出てきたというのでまた騒ぎになり、無関係なのに苦境のヒラリーへのさらなる打撃になったのだ。

 これでもうウィーナーの再起はあり得ない。まさに苦くて重い、人生の教訓。
〈生井英考〉

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のBOOKS記事