夢の統合は消し飛びいまや解体の危機「岐路に立つEU」

公開日: 更新日:

「EU分裂と 世界経済危機」伊藤さゆり著

 マクロ経済の観点から見れば明らかにEU残留が有利だったはずの英国。それがなぜ反対になったのか。

 キャメロン前首相ら残留派は「より強く、より安全に、より豊かに」を掲げたが、本質は離脱による雇用への悪影響を強調する「恐怖作戦」。つまりプラスの未来ではなく既得権益層が自分の利益を手放さないための説得と受け取られたという。

 また英国には、為替相場メカニズムやユーロ導入などでEUと距離を置いたことの成功体験もあった。加えて繁栄に取り残された層は移民の増加に不安と反感を抱いた。

 現在、離脱ショックは懸念されたほどの悪化を伴っていない。しかし、先行き不透明感が払拭されるまでには相当な持久戦が必要だろう、と若手アナリストの著者はみている。(NHK出版 740円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 2

    片山さつき財務相“苦しい”言い訳再び…「把握」しながら「失念」などありえない

  3. 3

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  4. 4

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  5. 5

    高市首相「世界の真ん中で咲き誇る日本外交」どこへ? 中国、北朝鮮、ロシアからナメられっぱなしで早くもドン詰まり

  1. 6

    “文春砲”で不倫バレ柳裕也の中日残留に飛び交う憶測…巨人はソフトB有原まで逃しFA戦線いきなり2敗

  2. 7

    阪神・佐藤輝明の侍J選外は“緊急辞退”だった!「今オフメジャー説」に球界ザワつく

  3. 8

    ドジャースからWBC侍J入りは「打者・大谷翔平」のみか…山本由伸は「慎重に検討」、朗希は“余裕なし”

  4. 9

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  5. 10

    古川琴音“旧ジャニ御用達”も当然の「驚異の女優IQの高さ」と共演者の魅力を最大限に引き出すプロ根性