夢の統合は消し飛びいまや解体の危機「岐路に立つEU」

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「問題は英国ではない、EUなのだ」エマニュエル・トッド著、堀茂樹訳

 日本でも知名度の高いフランスきっての現代知識人が説くグローバリゼーション批判。

 グローバル化の牽引役は英・米。ところが英はEU離脱、米はトランプ政権と牽引役自体が反グローバル化に舵を切っている。彼らは「30年間にわたって歯止めなき個人主義をプロモーションした果てに、ネオリベラリズム的であることに耐えられなくなっている」。

 自由競争を説くネオリベだが、英・米はポーランド人やメキシコ人移民労働者の大量流入に恐怖を感じ始め、制度疲労を起こしている。学問的な世界でもかつて米国の学界は世界の多様性に目を向けていたが、いまや経済学偏重で狭い視野しか持てない。

 英・米的価値観とは異なる立場からの鋭い文明批判。(文藝春秋 830円+税)

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