「わたつみ」花房観音著

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 主人公は、上京して夢だった映画製作を始めたものの、男にダマされて借金をつくり、故郷に帰らざるを得なくなった京子33歳。

 田舎は人間関係が狭く、何もかもがあっという間に噂話となって伝わってしまうため、せめて大きな工場で人に紛れて働こうと思い、地元の海産物加工工場「わたつみ」でアルバイトを始めた。

 そこで出会ったのは、中学の同級生でシングルマザーの美津香、50代半ばの真知子、東京育ちの夫と、はやらないカフェを開いているくるみ、30すぎても男と付き合ったことがない千里、2回り以上違う年上の男に嫁いだ20歳のフィリピン人のカレンら、東京では縁のなかった人たち。好奇心と嫉妬心がうずまく環境のなかで、それぞれが人に言えない事情を抱えていた……。

「花祀り」で第1回団鬼六賞大賞を受賞してデビューして以来、官能小説やホラー小説の分野で注目されている作家の最新作。田舎町で繰り広げられる女たちの性愛をこまやかに描いている。(中央公論新社 1600円+税)

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