「どんぶらこ」いとうせいこう著

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〈わし〉は樹脂でできた桃色のものに入れられて川を流れていく。どんぶらこ、どんぶらこ……。子どものためにこの話を考えた83歳の〈俺〉は妻と2人で暮らしている。ローンを払い終えた千葉の一戸建ての家を手放して、息子にすすめられた「サービス付き高齢者用住宅」に引っ越すことを決意する。

 便利屋に依頼して、ヘラブナ専用の釣り竿、妻の晴れ着など家財一切を引き取ってもらったが、「15万3000円」にしかならなかった。一方、51歳の娘Sは、夜中にピンク色のトランクを川に流した。(「どんぶらこ」)

 無残な現実と、信州弁で語られる架空の物語が入れ子構造で展開する、残酷な現代の日本昔ばなし。表題作ほか2編。

 (河出書房新社 1650円+税)

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