「満願」米澤穂信著

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 昭和61年春、弁護士の藤井は妙子からの電話で彼女の出所を知る。妙子の裁判は、藤井が独立して初めて扱った殺人事件だった。15年前、苦学生だった藤井は、畳屋を営んでいた鵜川とその妻・妙子夫婦の家に下宿をしていた。藤井が司法試験に合格して引き払った後、夫の放蕩(ほうとう)が原因で鵜川家は借金がかさみ、妙子は借金の返済と引き換えに体の関係を迫ってきた金融業者を殺害した罪で懲役8年の刑を宣告されたのだ。ファイルを読みながら改めて事件について考える藤井の脳裏に、ある疑念が浮かぶ。(表題作)

 その他、先輩警官が新米警官殉職事件の真相に迫る「夜警」など、緻密な構成と文体で読書の喜びを満たしてくれる傑作短編ミステリー集。山本周五郎賞受賞作。

 (新潮社 670円+税)

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