「70歳、はじめての男独り暮らし」西田輝夫著
大学を退任した西田は、16年半連れ添った妻を失った。子宮頚がんだった。先妻との間の子どもも、再婚した妻の子どもも既に独立していて一緒に暮らす家族はいない。離婚した時以来、初めて独り暮らしをすることになった。妻は西田と同じく眼科医だったので、家事はもちろん、西田の論文や資料のファイルもしてくれるしっかり者だった。最後の数カ月で、妻は西田に洗濯と料理の仕方の特訓をしたが、研究一筋で生きてきた西田は妻を亡くして途方に暮れた。その日の夕食に何を食べるか決めるだけで大変なのだ。家の中のどこに何があるかさえ分からない。出張の準備もままならない。
突然、妻のいない人生が始まった男の奮闘記。
(幻冬舎 1100円+税)