「役者とギャンブル」六角精児著
「役者とギャンブル」六角精児著
テレビでおなじみの名バイプレーヤーのエッセー集。自分のこれまでは、いわば「無駄のかたまり」のようなものだと自嘲。いわく「ギャンブルの無駄」「結婚離婚を繰り返す無駄」、そして「意味なく酒を呑み続ける無駄」など。そんな無駄を大量に抱え込んで生きてきた日々を赤裸々につづる。
高校卒業後に入った劇団に在籍して54歳(執筆時)になろうとしている今になって思い出す湘南の砂浜で劇団を辞めると心に決めた若き日の夜のことや、以前に離婚した女性と再び籍を入れ(著者にとっては4度目の入籍)こんなに幸せでよいのだろうかと幸せにおびえる自分、友人の葬式で抱いた違和感、そして出演するドラマの内輪話まで。
軽妙な筆致で読者を六角ワールドにいざなう。 (筑摩書房 1100円)