「二季化バテ」に打ち克つ!

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秋は来るのか?二季化時代で日本人が虚弱化

 全国で記録的な猛暑が連日続く今年の夏。

 近年では顕著になって来た季節の「二季化」も相まって、さまざまな「バテ」を訴える人が多くなっている。

 そこで今回は二季化に伴う現代人のバテ症状=「二季化バテ」の原因とその対策の仕方を取材してみた。

長く続く極暑で起こる さまざまな体の不調

 バテというと誰しも「夏バテ」という言葉を思い浮かべるに違いない。しかし、それだけではないというのが麻酔科医で自律神経やホルモンバランスに詳しい済生会横浜市東部病院患者支援センター長の谷口英喜先生だ。

「バテには夏バテ以外にも秋バテ、冬バテ、飲酒バテ、宴会・パーティーバテ、さらにはスマホバテなどさまざまなものがあり、特に最近は二季化バテが増えていますね。バテによって体調不良が続くと気のせい、年のせいなどと考えがちですが、軽視は禁物です。日本人の老若男女問わず誰しもがバテを経験しています」

 バテの症状としては「よく眠れない」「食欲がない。無理して食べてもおいしくない」「疲れが溜まってなかなか取れない」など、さまざまな弊害が例年なら9月に入ってから起こるのが普通だ。しかし、今年は季節の「二季化」の影響で夏の到来が早く春先から気温の高い日が続いたこともあって、すでに二季化バテの症状に悩む人が多くなっており、夏が長期化することでより9月以降も多くの人が症状を訴える可能性があるという。

自律神経の乱れがバテを引き起こす

 バテによって生じるさまざまな症状はどうして起こるのか? 谷口先生に聞いてみた。

「原因のひとつは自律神経が乱れるためです」

 自律神経とは人間が生きていく上で欠かせない、内臓や血管、呼吸など全身の働きを正常に保つため自動的(自律的)に働いている神経。これが乱れることで体調不良が起こってくるのだ。

「今年のように暑い日が毎日続くと体温が劇的に上がってきます。ですから、体温を一定にしようと自律神経が頑張り続けた結果、破綻して体調を損なう人が出てきてしまうのです。ところがその一方で、自律神経を休ませすぎてもいけません。例えば、冷房が効いた部屋の中に一日中ずっといたりすると自律神経の反応が鈍くなってしまうからです。今年の夏は①自律神経がすごく過酷に働いているか、あるいは②逆に休ませすぎているかの2つのパターンに陥っている方がほとんどだと思いますが、実はこのどちらもがバテにつながってしまうのです」

 こうした自律神経のトラブルを避けるためには「冷房の効いたところに長時間いたら時々外に出て外気に触れる」「夕方涼しくなったら一旦エアコンを切って、夜寝る時にまたスイッチをオンにする」などアクセントを付けることが必要だと谷口先生はアドバイスする。

小腸の動きを改善してバテを克服!

 脳と腸には強い関係があり「脳腸相関」といわれる。そのため、腸内環境を整えることで、脳に影響し自律神経の乱れを防ぐ働きもあるという。逆に、自律神経の働きが悪くなることで腸の動きが損なわれ、バテがさらに悪化してしまうということだ。

「人間の内臓の中で腸(特に小腸)はいくつもの重要な役目を担っています。そのうち特に大事なのが栄養を吸収するという役割です。というのも、腸の働きが悪くなると体の疲れを和らげるのに必要なビタミンやミネラル、エネルギーとなる炭水化物などの栄養素がうまく消化吸収できなくなってしまうからです。その意味で腸の動きを改善することはバテの改善にもつながる、とても大事なキーワードと言えるでしょうね」

 また、『自律神経』・『ホルモン』・『免疫』が人間の体の機能を維持する重要3要素であるが、そのいずれも腸(特に小腸)が影響しているというから驚きだ。(左上図解)

腸をつねに刺激してしっかり動かす

 これだけ暑い日が毎日続くとどうしても食欲が落ちてしまう。ついつい食事を抜いたり、そうめんや冷や麦といったあっさりした簡単な食事で済ませてしまう人も多いはずだ。しかし、バテにはそれが最もよくないと谷口先生は言う。

「何も食べないということは腸を使わないことになりますが、腸はつねに刺激してしっかり動かすことで腸内環境が整います。この時期に多くの方が食べがちなそうめんや冷や麦は炭水化物以外の栄養素がほとんど入っていないので、栄養的には感心できませんね」

最高の組み合わせ、ヨーグルトとキウイ

 酷暑のこの時期に腸をしっかり動かし、腸内環境を整えるには何を食べたらいいのかと言えば、谷口先生のおススメはキウイとヨーグルトだ。

「腸内環境を整えるためには腸内細菌を活性化させ、善玉菌を増やすことが必要です。ヨーグルトには乳酸菌などの善玉菌がたくさん含まれていますし、そのエサになる食物繊維がキウイにはたくさん入っていますからこの組み合わせは最高ですね。どうしても食欲がなくて何も食べられないのなら、最低限、この2つを食べていれば何とか腸内環境を整えることができると思いますね」

 今年はまだまだ夏が長引きそうだし、冬になれば今度はインフルエンザなどの感染症が心配になってくる。その点、谷口先生によればヨーグルトには腸内の免疫力を高めてくれる効果も期待できるそうだから、日常的にヨーグルトを取る習慣を身につけておくのがいいかもしれない。

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