老眼も簡単な手術で治せる時代に

公開日: 更新日:

「『よく見える目』をあきらめない」荒井宏幸著

 眼球の中でレンズの役割を担う水晶体が柔軟性を失い、これまで見えていた距離ではピントが合わなくなる老眼。食事に気を使っていようが筋トレで体を鍛えていようが45歳前後になれば誰にでも起こる、避けて通ることはできない老化現象だ。それゆえに“治す”という発想はない人がほとんどだ。

 しかし今、老眼は治療する時代へと変わりつつある。その鍵を握るのが、白内障手術だ。水晶体が白く濁る白内障の手術はごく一般的なもので、毎年およそ150万人が受けている。これとほぼ同じ方法で、老眼も手術できるのだという。

 白内障の手術では、濁った水晶体を取り除き、代わりに透明で単焦点の人工水晶体(眼内レンズ)を入れる。しかしこれでは老眼に関しては全くの手つかずだ。対して老眼手術では、水晶体を取り除いたら遠近両用の焦点を持つ人工水晶体を入れる。白内障も治り、手元も遠くも見えるようになる。例えば、50代でまだ白内障の症状は出ていないが老眼が進んだという人は、この方法で老眼手術をしておけば、将来的に白内障になる心配もなくなるのだという。

 老眼は病気ではないため、手術には保険が利かず自由診療となり、費用は50万~100万円ほどかかる。しかし2009年からは先進医療の対象となり、検査と診察は保険診療で受けられるようになっている。年齢を重ねても快適な視界で過ごしたいなら、一考の価値はありそうだ。(講談社 860円+税)

【連載】長生きする読書術

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    米倉涼子“自宅ガサ入れ”報道の波紋と今後…直後にヨーロッパに渡航、帰国後はイベントを次々キャンセル

  2. 2

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 3

    彬子さま三笠宮家“新当主”で…麻生太郎氏が気を揉む実妹・信子さま「母娘の断絶」と「女性宮家問題」

  4. 4

    アッと驚く自公「連立解消」…突っぱねた高市自民も離脱する斉藤公明も勝算なしの結末

  5. 5

    ヤクルト池山新監督の「意外な評判」 二軍を率いて最下位、その手腕を不安視する声が少なくないが…

  1. 6

    新型コロナワクチン接種後の健康被害の真実を探るドキュメンタリー映画「ヒポクラテスの盲点」を製作した大西隼監督に聞いた

  2. 7

    違法薬物で逮捕された元NHKアナ塚本堅一さんは、依存症予防教育アドバイザーとして再出発していた

  3. 8

    大麻所持の清水尋也、保釈後も広がる波紋…水面下で進む"芋づる式逮捕"に芸能界は戦々恐々

  4. 9

    “行間”を深読みできない人が急増中…「無言の帰宅」の意味、なぜ分からないのか

  5. 10

    万博協会も大阪府も元請けも「詐欺師」…パビリオン工事費未払い被害者が実名告発