「暴君誕生」マット・タイービ著 神保哲生訳

公開日: 更新日:

 昨年、米バージニア州の小さな町で衝撃的な事件が起きた。白人至上主義者=ネオナチの集会に反対するデモに車が突っ込み、女性1人が犠牲になったのだ。

 この事件に対し、トランプ大統領は当事者双方に自制を促した。事実上、彼がネオナチを擁護した瞬間だ。ナチスを支持することは民主国家にとってはタブー。ではなぜ、アメリカはトランプを選んだのか?

 著者はその背景にアメリカが実質的にいまだ白人国家である(人口の76.2%)ことを指摘する。白人が政治不信を鬱積させていたのだ。企業の海外流出による雇用不安、さらに若者に圧倒的な支持を受けたサンダースの躍進の意味を学ばない民主党、トランプの力量を過小評価した共和党の現実も要因にあると説く。(ダイヤモンド社 1800円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ヤクルトのドラフトは12球団ワースト…「余裕のなさ」ゆえに冒険せず、好素材を逃した気がする

  2. 2

    「汽車を待つ君の横で時計を気にした駅」は一体どこなのか?

  3. 3

    ソフトバンクは「一番得をした」…佐々木麟太郎の“損失見込み”を上回る好選定

  4. 4

    コメ増産から2カ月で一転、高市内閣の新農相が減産へ180度方針転換…生産者は大混乱

  5. 5

    オリックスまさかのドラフト戦略 「凶作」の高校生総ざらいで"急がば回れ"

  1. 6

    ヤクルト2位 モイセエフ・ニキータ 《生きていくために日本に来ました》父が明かす壮絶半生

  2. 7

    オリ1位・麦谷祐介 暴力被害で高校転校も家族が支えた艱難辛苦 《もう無理》とSOSが来て…

  3. 8

    “代役”白石聖が窮地を救うか? 期待しかないNHK大河ドラマ『豊臣兄弟』に思わぬ落とし穴

  4. 9

    福山雅治は"フジ不適切会合参加"報道でも紅白で白組大トリの可能性も十分…出場を容認するNHKの思惑

  5. 10

    バスタオル一枚の星野監督は鬼の形相でダッシュ、そのまま俺は飛び蹴りを食らった