「エッグマン」辻仁成著

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 主人公は、元料理人の佐藤次郎こと通称・サトジ。14年前に居酒屋で会った女性・マヨへの恋心を心に秘めたまま、彼女が結婚して出産する過程を憧れの気持ちで見ていたものの、突然、彼女は姿を消し、シングルマザーになったという噂を聞いた。

 もう会えないだろうと思っていたところ、あるとき偶然に彼女と再会。もどかしいほど時間をかけてようやく話ができるようになり、約束をしているわけでもないが仕事帰りにまた居酒屋で顔を合わせる間柄になった。ふたりの間をつなぐのはサトジが繰り出す料理。特にサトジの作る卵料理は、困ったことがあるたびに不思議な力を発揮して幸せをもたらしていく……。

「海峡の光」で芥川賞を受賞している著者による最新作。ちょっと変わった卵かけごはん、絶品親子丼、世界一おいしいティラミスなど、主人公が卵で作る料理は読み手の食欲をそそる。

 読後、おいしい料理を食べた後のような温かい満足感が残るのがうれしい。

(朝日新聞出版 1600円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

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