「エッグマン」辻仁成著

公開日: 更新日:

 主人公は、元料理人の佐藤次郎こと通称・サトジ。14年前に居酒屋で会った女性・マヨへの恋心を心に秘めたまま、彼女が結婚して出産する過程を憧れの気持ちで見ていたものの、突然、彼女は姿を消し、シングルマザーになったという噂を聞いた。

 もう会えないだろうと思っていたところ、あるとき偶然に彼女と再会。もどかしいほど時間をかけてようやく話ができるようになり、約束をしているわけでもないが仕事帰りにまた居酒屋で顔を合わせる間柄になった。ふたりの間をつなぐのはサトジが繰り出す料理。特にサトジの作る卵料理は、困ったことがあるたびに不思議な力を発揮して幸せをもたらしていく……。

「海峡の光」で芥川賞を受賞している著者による最新作。ちょっと変わった卵かけごはん、絶品親子丼、世界一おいしいティラミスなど、主人公が卵で作る料理は読み手の食欲をそそる。

 読後、おいしい料理を食べた後のような温かい満足感が残るのがうれしい。

(朝日新聞出版 1600円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    映画「国宝」ブームに水を差す歌舞伎界の醜聞…人間国宝の孫が“極秘妻”に凄絶DV

  2. 2

    「時代と寝た男」加納典明(22)撮影した女性500人のうち450人と関係を持ったのは本当ですか?「それは…」

  3. 3

    慶大医学部を辞退して東大理Ⅰに進んだ菊川怜の受け身な半生…高校は国内最難関の桜蔭卒

  4. 4

    TOKIO解散劇のウラでリーダー城島茂の「キナ臭い話」に再注目も真相は闇の中へ…

  5. 5

    国分太一の不祥事からたった5日…TOKIOが電撃解散した「2つの理由」

  1. 6

    国分太一は会見ナシ“雲隠れ生活”ににじむ本心…自宅の電気は消え、元TBSの妻は近所に謝罪する事態に

  2. 7

    輸入米3万トン前倒し入札にコメ農家から悲鳴…新米の時期とモロかぶり米価下落の恐れ

  3. 8

    「ミタゾノ」松岡昌宏は旧ジャニタレたちの“鑑”? TOKIOで唯一オファーが絶えないワケ

  4. 9

    中居正広氏=フジ問題 トラブル後の『早いうちにふつうのやつね』メールの報道で事態さらに混迷

  5. 10

    くら寿司への迷惑行為 16歳少年の“悪ふざけ”が招くとてつもない代償