1997年に神戸市で起きた「酒鬼薔薇聖斗事件」。その犯人である少年Aが医療少年院を退院し、保護観察期間を終えた後、手記「絶歌」を出版した。その中には、事件の直接的な動機や、医療少年院で行われた「矯正教育」に関する記述がほとんど見当たらない。
少年Aには医療少年院で、精神科医によって「アスペルガー障害」と診断されたが、その障害に沿った矯正プログラムは行われなかった。アスペルガー障害は「脳機能の障害」であり、根本的な治療は難しいが矯正は可能である。
「発達障害」による少年犯罪を防ぐために「早期発見」「早期治療」の重要さを説く警告の書。
(河出書房新社 1500円+税)