「秋田犬のおやこ」酒巻洋子写真・文

公開日: 更新日:

 ユキのかいがいしい世話ですくすくと成長する子犬たちは、2週間もするとうっすらと目が開いてきた。

 ふだんは4匹並んで行儀よくお乳を飲んでいるが、たまにどうしてか1匹だけがひっくり返ってあおむけのまま、それでも乳首を離さずお乳を飲んでいたり、シンクロするようにお互いの体を枕にして眠るなど、無心に生きる姿が何ともほほえましい。

 ユキとカイ一家が暮らしているのは、実はフランスのノルマンディー地方。ここで馬や牛、羊、ニワトリなどを飼育して繁殖させている著者は、常に動物たちの生と死を間近にして暮らしてきた。あるとき、飼っていた猫が失踪してしまい、彼女の産んだ子猫2匹だけが残された。母猫を失う悲しみがあっても、子猫の存在に救われた著者は、その体験から秋田犬の繁殖をしようと思ったという。

 生後4週間目からは、いよいよカイも「イクメン」デビュー。しかし、最初は子犬たちとどう接していいのか分からない様子で、その戸惑いまで伝わってくる。

 父子は日増しにその距離を縮め、ユキとカイはやんちゃになってくる子供たちの遊び相手を上手につとめる。6週間が過ぎるころには、ビビり屋の長男やおっとり屋の次男、マイペースな三男、そしておてんばの長女と個性もはっきりとしてくる。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松井秀喜氏タジタジ、岡本和真も困惑…長嶋茂雄さん追悼試合のウラで巨人重鎮OBが“異例の要請”

  2. 2

    7代目になってもカネのうまみがない山口組

  3. 3

    巨人・田中将大と“魔改造コーチ”の間に微妙な空気…甘言ささやく桑田二軍監督へ乗り換えていた

  4. 4

    福山雅治のフジ「不適切会合」出席が発覚! “男性有力出演者”疑惑浮上もスルーされ続けていたワケ

  5. 5

    打者にとって藤浪晋太郎ほど嫌な投手はいない。本人はもちろん、ベンチがそう割り切れるか

  1. 6

    文春が報じた中居正広「性暴力」の全貌…守秘義務の情報がなぜこうも都合よく漏れるのか?

  2. 7

    DeNA藤浪晋太郎がマウンド外で大炎上!中日関係者が激怒した“意固地”は筋金入り

  3. 8

    収束不可能な「広陵事件」の大炎上には正直、苛立ちに近い感情さえ覚えます

  4. 9

    横浜・村田監督が3年前のパワハラ騒動を語る「選手が『気にしないで行きましょう』と…」

  5. 10

    吉村府知事肝いり「副首都構想」に陰り…大阪万博“帰宅困難問題”への場当たり対応で露呈した大甘な危機管理