「斗星、北天にあり」鳴神響一著

公開日: 更新日:

 物語は、出羽国にある檜山城の城主・安東舜季の嫡男である愛季が、父の突然の死によって弱冠15歳にして8代目当主になるところから始まる。

 東の比内には浅利氏や南部氏がおり、南には由利十二頭と呼ばれる小豪族たちが割拠していた。加えて湊安東家の重臣たちの中には檜山安東家からの独立を狙う者たちもおり、愛季は油断のならない状況におかれていた。

 そんなある日、愛季は領内の土地をよく知るためお忍びで出かけた先でお供とはぐれてしまい、ある農家で一夜の宿を借りる。そこで米を食べることもできない人々の貧しい暮らしを知り、いつか領内に米を行き渡らせたいという夢を持つようになった。領民に生活の豊かさを与えるため、愛季は東北を治めるべく戦国の世に躍り出ていくのだが……。

 2014年「私が愛したサムライの娘」で第6回角川春樹小説賞を受賞してデビューして以来、「鬼船の城塞」「影の火盗犯科帳」「おいらん若君 徳川竜之進」などの人気作が話題の著者による歴史小説。乱世に負けず秋田の礎を築いた主人公の信念が熱い。

(徳間書店 1800円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    横浜・村田監督が3年前のパワハラ騒動を語る「選手が『気にしないで行きましょう』と…」

  2. 2

    文春が報じた中居正広「性暴力」の全貌…守秘義務の情報がなぜこうも都合よく漏れるのか?

  3. 3

    マツコが股関節亜脱臼でレギュラー番組欠席…原因はやはりインドアでの“自堕落”な「動かない」生活か

  4. 4

    松井秀喜氏タジタジ、岡本和真も困惑…長嶋茂雄さん追悼試合のウラで巨人重鎮OBが“異例の要請”

  5. 5

    巨人・田中将大と“魔改造コーチ”の間に微妙な空気…甘言ささやく桑田二軍監督へ乗り換えていた

  1. 6

    5億円豪邸も…岡田准一は“マスオさん状態”になる可能性

  2. 7

    小泉進次郎氏8.15“朝イチ靖国参拝”は完全裏目…保守すり寄りパフォーマンスへの落胆と今後の懸念

  3. 8

    渡邊渚“初グラビア写真集”で「ひしゃげたバスト」大胆披露…評論家も思わず凝視

  4. 9

    「石破おろし」攻防いよいよ本格化…19日に自民選管初会合→総裁選前倒し検討開始も、国民不在は変わらず

  5. 10

    大の里&豊昇龍は“金星の使者”…両横綱の体たらくで出費かさみ相撲協会は戦々恐々