公開日: 更新日:

「スマホが学力を破壊する」川島隆太著

 歩きスマホの事故や青少年のスマホ漬けの一方、スマホは大人に多大な恩恵があると主張する声もある。



 ゲームソフト「脳トレ」の生みの親として一世を風靡した著者。さぞやスマホにも好意的と思いきや、本書を見るとなんと反対論の急先鋒。勤務する東北大と地元の仙台市が組んで青少年対象のアンケート調査を実施し、スマホと学校外での勉強時間を詳しく調べたという。

 それで分かったのは、スマホ依存が明らかに学力低下を招くという負の影響だ。どれほど勉強時間が長くとも、スマホの使用時間が長いと努力は水の泡になるという意外な結果だった。一時話題になったゲーム依存も、実はスマホの登場以来、若者たちはゲーム機から離れる一方。彼らはスマホでゲームにふけっている。

 また消灯後にLINEでメッセージを長々と送り合う傾向は女子に強く、これも確実に学力低下につながる。

 スマホは便利で万人をひきつける。それだけに短時間の使用でスマホをやめられること自体、自己管理能力が優れている証拠という。 

(集英社 740円+税)

「スマホ勉強革命」吉田たかよし著

 著者は東大の赤門の前にある「日本で初めての受験生を専門に扱う心療内科クリニック」の院長。多数の受験生を相手に、彼らのスマホ依存との戦いが著者の日常。大半はスマホの使い過ぎで成績不振になっているが、著者は発想を切り替え、「脳に最適な」スマホの使い方を開発したという。

 スマホに付属するカレンダーやタイマー機能を賢く使い、重要な事項はスマホに音声入力し、それを聞きながら歩く。東大や司法試験の合格者はそうやってスマホを効果的に使いこなしているというわけだ。

 スマホは依存性が当たり前。だからデスクに置きっ放しは禁物だそうだ。

(青春出版社 1380円+税)

「スマホメモ」須藤亮著

 新卒で博報堂に入社し、以来「35年間、職種的にはずーっとマーケティング職」。いまは独立して自分の会社を率いる著者は恵まれたサラリーマン人生を送っているが、スマホを持ったことで自分の「脳力」が格段に上がったという。

 小さな気づきをさっとメモしておくことでボーッとテレビを見るなどの無駄なインプットが減り、情報を整理して知恵に変換する創造的なアウトプットが急増した。それが証拠にスマホを使って5年ほどの間に約3000のメモを残し、著書を何冊も出したからだ。

 本書はその秘訣を解説。いわばスマホ版「知的生産の技術」か。

(CCCメディアハウス 1500円+税)

【連載】本で読み解くNEWSの深層

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  2. 2

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  3. 3

    「高市早苗首相」誕生睨み復権狙い…旧安倍派幹部“オレがオレが”の露出増で主導権争いの醜悪

  4. 4

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  5. 5

    国民民主党「選挙違反疑惑」女性議員“首切り”カウントダウン…玉木代表ようやく「厳正処分」言及

  1. 6

    時効だから言うが…巨人は俺への「必ず1、2位で指名する」の“確約”を反故にした

  2. 7

    パナソニックHDが1万人削減へ…営業利益18%増4265億円の黒字でもリストラ急ぐ理由

  3. 8

    ドジャース大谷翔平が3年連続本塁打王と引き換えに更新しそうな「自己ワースト記録」

  4. 9

    デマと誹謗中傷で混乱続く兵庫県政…記者が斎藤元彦県知事に「職員、県議が萎縮」と異例の訴え

  5. 10

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず