「傾城 徳川家康」大塚卓嗣著

公開日: 更新日:

 16歳の信長は萬松寺に行き、人質として預けられていた松平家の嫡男、竹千代を連れ出した。そして、西三河に立つ安祥城が陥落し、信長の異母兄、信広が今川に捕らえられたと告げた。

 だが、側室の子である信広を人質にしても意味がない。竹千代は今川の意図に気づいた。信広と竹千代の人質交換をもくろんでいるのだ。信長は鋭敏な竹千代が織田家の役に立つと考え、手放すのは惜しいと思った。だが、竹千代を返さなければ織田家内で内乱が起きる可能性もある。信長が「そのうち、迎えに行ってやる」と言うと、竹千代は「いつまでもお待ちしております」と答えた。信長はその唇に接吻した。(「城なし子」)

 織田、今川に寵愛され、戦国の世を生き抜いた家康を新しい視点で描く歴史小説。 (光文社 1900円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    ドジャース佐々木朗希「今季構想外」特別待遇剥奪でアリゾナ送還へ…かばい続けてきたロバーツ監督まで首捻る

  4. 4

    中日・中田翔がいよいよ崖っぷち…西武から“問題児”佐藤龍世を素行リスク覚悟で獲得の波紋

  5. 5

    西武は“緩い”から強い? 相内3度目「対外試合禁止」の裏側

  1. 6

    「1食228円」に国民激怒!自民・森山幹事長が言い放った一律2万円バラマキの“トンデモ根拠”

  2. 7

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  3. 8

    辞意固めたか、国民民主党・玉木代表…山尾志桜里vs伊藤孝恵“女の戦い”にウンザリ?

  4. 9

    STARTO社の新社長に名前があがった「元フジテレビ専務」の評判…一方で「キムタク社長」待望論も

  5. 10

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは