「猿の見る夢」桐野夏生著

公開日: 更新日:

 元銀行員の薄井が勤務する衣料製造小売会社は時流に乗って急成長。59歳で財務担当取締役の薄井は、せめて常務まで出世したい。そのために会長と娘婿の社長の派閥争いには巻き込まれたくない。そんな薄井の唯一の楽しみは、愛人との週2回の逢瀬だ。

 ある日、愛人とのデートに出かけようとしたところ、会長の織場に呼び出された薄井は、社長の福原のセクハラがネットで問題になっていると耳打ちされる。織場は騒ぎを利用して失いかけた会社の実権を取り戻したいらしい。一方、愛人とのデートは喧嘩別れになってしまい、いつもより早く帰宅すると自宅には見知らぬ女性がいた。妻の史代が招いた占い師の長峰だという。

 思い描いていた定年後の計画が次々と破綻していく中年男を描く長編。

(講談社 1000円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    今オフ日本史上最多5人がメジャー挑戦!阪神才木は“藤川監督が後押し”、西武Wエースにヤクルト村上、巨人岡本まで

  2. 2

    ヤクルト村上宗隆の「メジャー契約金」は何億円?

  3. 3

    ドジャース佐々木朗希もようやく危機感…ロッテ時代の逃げ癖、図々しさは通用しないと身に染みた?

  4. 4

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  5. 5

    吉沢亮「国宝」150億円突破も手放しで喜べない…堺雅人“半沢直樹ブーム”と似て非なるギャラ高騰の行方

  1. 6

    「SIAM SHADE」DAITAがメンバー4人を提訴報道…人気バンドを巡る金銭問題と、「GLAY」は別格のワケ

  2. 7

    日本ハム最年長レジェンド宮西尚生も“完オチ”…ますます破壊力増す「新庄のDM」

  3. 8

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 9

    ドジャース佐々木朗希にリリーバーとしての“重大欠陥”…大谷とは真逆の「自己チューぶり」が焦点に

  5. 10

    《あの方のこと?》ラルクhydeの「太っていくロックアーティストになりたくない」発言が物議