「50歳からはじめる一生病気に負けない強い体のつくり方」石井直方著

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 トレーニング科学が専門で、ボディービルの競技者として活躍した経歴も持つ著者。長年にわたり健康のためには筋肉を鍛えようと呼びかけてきたが、61歳のときにステージⅣの悪性リンパ腫という宣告を受けてしまう。

 しかし、6回の抗がん剤治療も乗り越え、今も元気に活躍している。年齢を重ねれば、どんなに丈夫な人でも病気になる確率は高まる。それを乗り越えるにはやはり、日頃から筋肉を鍛えて病気に打ち勝つ力を付けておくことが重要だと本書は説いている。

 なぜ筋肉を鍛えることが有効なのか。今、世界的に注目を集めているのが、筋肉がつくる3つのホルモンだ。ひとつは、「インターロイキン6」。炎症を鎮める働きを持つと言われ、血管の内壁で動脈硬化を予防・改善する効果が期待されている。

 また、大腸がんの初期段階でがん化が疑わしい細胞をアポトーシス(細胞死)に追い込む可能性がある「SPARC(スパーク)」、そして脳の海馬に働いて活性化させ認知症予防につながるとされる「イリシン」が、筋肉から分泌されることが分かっている。他にも、筋肉を動かすことで成長ホルモンや性ホルモンなど加齢に伴って減少するホルモンも分泌されやすくなり、老化のスピードにあらがうことができるという。

 筋肉は、軽い負荷でも効率よく鍛えることができる。本書では、1日10分、週に2~3回でOKの簡単なスロトレ=スロートレーニングを数多く紹介している。例えば、「リズミカルニーアップ」はその場で足踏みを繰り返すだけ。ただし、1秒間に1回(1歩)のゆっくりとした速度で行うのがポイントだ。

 年を取るほど、筋肉は“財産”になる。今日からスロトレを日課にしよう。

(三笠書房 1400円+税)

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