「落花狼藉」朝井まかて著

公開日: 更新日:

 吉原の西田屋の女将、花仍(かよ)は、4、5歳の頃、ひとりで城下をうろついていたところを、遊女屋兼宿屋の甚右衛門に拾われた。長じて甚右衛門の妻となったのだが、当時は関ケ原の戦いの後で血なまぐさい空気が漂っていた。傾城屋にやってくる武士も心身ともにすさみきって、遊女を手慰みに殺す者もいた。甚右衛門は公儀に「傾城町を造りたい」と願い出る。それは売色でしか生きていけない女たちを守るためだと花仍は思った。

 まもなく、隅田川沿いの場末を埋め立ててもよいと許可が下りた。甚右衛門はどぶをさらい、護岸工事をして傾城町を造るが、かつて傾城町造りに参加しなかった京者が、吉原に入れてくれと泣きついてきた。

 黎明期の吉原に生きた遊女屋の女将の物語。

(双葉社 1600円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    ドジャース佐々木朗希「今季構想外」特別待遇剥奪でアリゾナ送還へ…かばい続けてきたロバーツ監督まで首捻る

  4. 4

    中日・中田翔がいよいよ崖っぷち…西武から“問題児”佐藤龍世を素行リスク覚悟で獲得の波紋

  5. 5

    西武は“緩い”から強い? 相内3度目「対外試合禁止」の裏側

  1. 6

    「1食228円」に国民激怒!自民・森山幹事長が言い放った一律2万円バラマキの“トンデモ根拠”

  2. 7

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  3. 8

    辞意固めたか、国民民主党・玉木代表…山尾志桜里vs伊藤孝恵“女の戦い”にウンザリ?

  4. 9

    STARTO社の新社長に名前があがった「元フジテレビ専務」の評判…一方で「キムタク社長」待望論も

  5. 10

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは