「師・寅次郎と主君・慶親」鶴田慎一著

公開日: 更新日:

 極貧の下級武士の次男として生まれた寅次郎(吉田松陰)は9歳で山鹿流兵学を修め、長州藩の藩校である明倫館で年上の藩士に兵学を教えるほどの天才だった。

 主君の毛利慶親は養子だったが、銀8万貫にも上る借金を抱えた藩の財政を再建した名君だった。

 家老から寅次郎の噂を聞いていた慶親は、領地に帰国した際に寅次郎に御前講義をさせ、その才を認めて寅次郎の弟子となる。後年、松陰が安政の大獄で井伊直弼に捕らえられそうになったとき、慶親は長州藩の獄に入れるという奇策で松陰を救った。松陰の死後、慶親は松陰の策を入れ、薩摩藩との同盟を進めて倒幕を目指す。

 固い信頼で結ばれた主従の絆を描く歴史小説。

(日本橋出版 1600円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  2. 2

    横浜とのFA交渉で引っ掛かった森祇晶監督の冷淡 落合博満さんは非通知着信で「探り」を入れてきた

  3. 3

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  4. 4

    国宝級イケメンの松村北斗は転校した堀越高校から亜細亜大に進学 仕事と学業の両立をしっかり

  5. 5

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  1. 6

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー

  2. 7

    【京都府立鴨沂高校】という沢田研二の出身校の歩き方

  3. 8

    「核兵器保有すべき」放言の高市首相側近は何者なのか? 官房長官は火消しに躍起も辞任は不可避

  4. 9

    複雑なコードとリズムを世に広めた編曲 松任谷正隆の偉業

  5. 10

    中日からFA宣言した交渉の一部始終 2001年オフは「残留」と「移籍」で揺れる毎日を過ごした