「実像」秋山千佳著

公開日: 更新日:

 中本忠子は非行少年などの更生支援をする保護司を76歳まで務めた。広島市基町のアパートには、親が薬物依存症だったり刑務所を出たり入ったりで、虐待やネグレクトを受けてきた子どもが、「ばっちゃん、腹減ったー」とやってくる。そんな彼らに、忠子は盆も正月もなく食事を作って食べさせる。「よその子に与えることによって、うちの子にも誰かが与えてくれるじゃろう」という思いがあった。

 忠子は20歳で結婚したが、夫が心筋梗塞で突然死し、2人の息子を実家に預けて再婚した。その後、3人目の息子を産んだが、離婚して母子2人で生きてきたという過去があったのだ。「広島のマザー・テレサ」の謎に包まれた人生を探るルポルタージュ。

(KADOKAWA 1700円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志氏はパチプロ時代の正義感どこへ…兵庫県知事選を巡る公選法違反疑惑で“キワモノ”扱い

  2. 2

    タラレバ吉高の髪型人気で…“永野ヘア女子”急増の珍現象

  3. 3

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 4

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  5. 5

    《#兵庫県恥ずかしい》斎藤元彦知事を巡り地方議員らが出しゃばり…本人不在の"暴走"に県民うんざり

  1. 6

    シーズン中“2度目の現役ドラフト”実施に現実味…トライアウトは形骸化し今年限りで廃止案

  2. 7

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  3. 8

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 9

    大量にスタッフ辞め…長渕剛「10万人富士山ライブ」の後始末

  5. 10

    立花孝志氏の立件あるか?兵庫県知事選での斎藤元彦氏応援は「公選法違反の恐れアリ」と総務相答弁