「江戸の牢屋」中嶋繁雄著

公開日: 更新日:

 江戸時代の牢屋敷は、悲惨残酷を極め、幕末には犯罪者の激増で、1畳に18人も詰め込まれたという。

 そんな知られざる牢屋敷の実態を解説する歴史テキスト。

 牢屋敷のトップ「囚獄」は、石出帯刀家代々の世襲職で、その下に同心58人と下男30人がいた。しかし、実際には牢内の秩序は自治組織ともいえる牢役制度によって保たれ、そのトップに位置する牢名主は、見張畳と称して12枚重ねの畳の上に構え、囚徒の生殺与奪権を握っていた。横行するリンチや人減らしのための「作造り」と呼ばれる殺人、「死後入牢」という奇妙な制度、悪徳牢医師など、多くの史料をひもときその実態を紹介。さらに離島への流刑人たちの実情や、吉田松陰ら幕末の志士らの牢屋敷体験まで網羅したお薦め本。

(河出書房新社 880円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志氏はパチプロ時代の正義感どこへ…兵庫県知事選を巡る公選法違反疑惑で“キワモノ”扱い

  2. 2

    タラレバ吉高の髪型人気で…“永野ヘア女子”急増の珍現象

  3. 3

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 4

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  5. 5

    《#兵庫県恥ずかしい》斎藤元彦知事を巡り地方議員らが出しゃばり…本人不在の"暴走"に県民うんざり

  1. 6

    シーズン中“2度目の現役ドラフト”実施に現実味…トライアウトは形骸化し今年限りで廃止案

  2. 7

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  3. 8

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 9

    大量にスタッフ辞め…長渕剛「10万人富士山ライブ」の後始末

  5. 10

    立花孝志氏の立件あるか?兵庫県知事選での斎藤元彦氏応援は「公選法違反の恐れアリ」と総務相答弁