「〈賄賂〉のある暮らし」岡奈津子著

公開日: 更新日:

 冷戦終結から30年、東欧諸国は社会主義時代より腐敗が深刻化している。カザフスタンでは国営企業で働いていた人々は失業し、食べるために商売を始めた。商人は近隣諸国で割安な商品を購入し、国内で売りさばくが、買い出しに行くたびに税関や警察に賄賂を払わせられる。規則が頻繁に変更されたりするため、守ることが難しく、ルール違反を理由に袖の下を要求されるのだ。

 税関だけではない。国境警備隊も稼いでいる。ウズベキスタンとの国境地帯では徒歩で国境を越えられるが、狙撃されるリスクを避けるため、国境警備兵と組んだ仲介人に20ドル支払う必要がある。贈収賄が蔓延し、エリート層が富を独占するカザフスタンの現状をリポート。

(白水社 2200円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    コメ増産から2カ月で一転、高市内閣の新農相が減産へ180度方針転換…生産者は大混乱

  2. 2

    沢口靖子「絶対零度」が月9ワースト目前の“戦犯”はフジテレビ? 二匹目のドジョウ狙うも大誤算

  3. 3

    “裸の王様”と化した三谷幸喜…フジテレビが社運を懸けたドラマが大コケ危機

  4. 4

    ソフトバンクは「一番得をした」…佐々木麟太郎の“損失見込み”を上回る好選定

  5. 5

    ヤクルトのドラフトは12球団ワースト…「余裕のなさ」ゆえに冒険せず、好素材を逃した気がする

  1. 6

    小泉“セクシー”防衛相からやっぱり「進次郎構文」が! 殺人兵器輸出が「平和国家の理念と整合」の意味不明

  2. 7

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  3. 8

    菅田将暉「もしがく」不発の元凶はフジテレビの“保守路線”…豪華キャスト&主題歌も昭和感ゼロで逆効果

  4. 9

    元TOKIO国分太一の「人権救済申し入れ」に見る日本テレビの“身勝手対応”

  5. 10

    “気分屋”渋野日向子の本音は「日本でプレーしたい」か…ギャラリーの温かさは日米で雲泥の差