「魂の痕(きずあと)」梁石日著

公開日: 更新日:

 主人公は、親の言いつけに従って隣村の朴家の一人息子と結婚した春玉。朴家は裕福な地主の家で、日本人とのつながりもあったことから春玉の父が進めた結婚話だったが、夫はまだ10歳の子どもだった。

 嫁いだその日から厳しい姑の監視のもとで家事に明け暮れる羽目になった春玉だが、次第に成長した夫が暴力を使って体を求めてくるようになり、奥から部屋の様子をうかがう姑の面前で陵辱するようになった。拒絶しても何度も体を求められ、さらに姑からもいびられる日々に耐えられなくなった春玉は、ついに親友のいる大阪へと逃げ出すことを思い立つ。

 しかしやっとの思いで朴家から逃れて、船旅の末にたどり着いた働き口で出会ったのは、春玉を思うままにしようとする男たち。屈辱の果てに待っていたのは、妊娠と解雇という最悪の状況だった……。

血と骨」で第11回山本周五郎賞を受賞した著者の最新作。済州島から大阪へと流れ着き、心も体もボロボロに傷つきながらも生き抜いた女の、苦しくもたくましい人生がつづられていく。男に虐げられながら、遠い故郷に思いを馳せる女の切ない思いが胸に迫る。

(河出書房新社 1800円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    山田涼介が「令和最強アイドル」と評されるワケ…主演ドラマ「一次元の挿し木」は玉森裕太を三歩リード

  2. 2

    沈黙貫く橋本愛vs佐藤二朗「週刊新潮」で反論の泥沼化…SNS連投で"自滅"を心配する声も

  3. 3

    『ひよっこ』再放送記念、神回「ビートルズがやって来る」再録

  4. 4

    骨折で入院中ですが…ブラジルに惜敗した森保Jを巡る一部炎上報道で心が痛い

  5. 5

    萩本欽一〈24〉相方の坂上二郎さんとは「遊ばない・食事しない・夢を語らない」を徹底した事情

  1. 6

    男子バスケ日本代表に激震、ホーバス監督“解任”の真相…過去には八村塁と確執も 

  2. 7

    孤立深まる高市首相…国会10日ぶり正常化でも続く“包囲網” 与党内からも反発の声噴出の自業自得

  3. 8

    佐藤二朗騒動の余波!「福田組」の長澤まさみへの“ハラスメント”舞台挨拶の悪ノリ動画が再注目…女性視聴者は嫌悪

  4. 9

    趣里が7月期テレ朝ドラマで出産後初主演 続く水谷家との「蜜月」で三山凌輝にも復活説

  5. 10

    村上誠一郎前総務相が高市政権バッサリ!「これが本当に保守政治なのか」…突きつけた自民「立党宣言」との乖離