「インタビューズ」堂場瞬一著

公開日: 更新日:

 新潟で事件記者をやっていた「俺」は、大学の同期で出版社に就職した本橋に「視野が狭い」と言われ、発奮してある企画を思いつく。それは毎年1回、大晦日に渋谷のスクランブル交差点で取材して、その1年で一番印象的だった事件や出来事を聞くというもの。平成最初の大晦日から始めたその取材は、2019年末で締めくくられ、ついに100人に及ぶインタビュー集となって完成したのだった……。

 警察小説やスポーツ小説で人気の著者による、インタビュー形式のノンフィクション。小説家である著者がフィクションに挑戦したのかと思いきや、インタビューの形をとって書かれた作品だということが最後に明かされている。ベルリンの壁崩壊、イカ天、就職氷河期、ウィンドウズ95、冬ソナ、マンション耐震偽装問題等々、平成の時代に起きたさまざまなことが人々の口から語られることで、時の流れの中に埋もれていつのまにか記憶の隅に追いやられてしまった事象が掘り起こされていく。

 平成とはいったい何だったのか。さまざまな人の証言をもとに、平成の時代の空気がリアルに伝わってくる。

(河出書房新社 1600円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 2
    真美子夫人も共同オーナーに? 大谷「25億円別荘購入」の次は女子プロバスケチーム買収か

    真美子夫人も共同オーナーに? 大谷「25億円別荘購入」の次は女子プロバスケチーム買収か

  3. 3
    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  4. 4
    キムタクを縛り続ける《公称176cm》のデータ…「Believe」番宣行脚でも視聴者の関心は共演者との身長比較

    キムタクを縛り続ける《公称176cm》のデータ…「Believe」番宣行脚でも視聴者の関心は共演者との身長比較

  5. 5
    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

  1. 6
    悠仁さまは推薦入学で東大を目指すも…名門・筑波大付属高校が持つ「4人」の枠に入れるのか?

    悠仁さまは推薦入学で東大を目指すも…名門・筑波大付属高校が持つ「4人」の枠に入れるのか?

  2. 7
    元Kis-My-Ft2“辞めジャニ”北山宏光の大誤算…ソロコンサートのチケットが売れない!

    元Kis-My-Ft2“辞めジャニ”北山宏光の大誤算…ソロコンサートのチケットが売れない!

  3. 8
    広末涼子“不倫ラブレター”の「きもちくしてくれて」がヤリ玉に…《一応早稲田だよな?》

    広末涼子“不倫ラブレター”の「きもちくしてくれて」がヤリ玉に…《一応早稲田だよな?》

  4. 9
    女優・吉沢京子「初体験は中村勘三郎さん」…週刊現代で告白

    女優・吉沢京子「初体験は中村勘三郎さん」…週刊現代で告白

  5. 10
    岸田首相の起死回生策? 国会閉幕後に囁かれる「オールスター内閣改造」は成功するのか

    岸田首相の起死回生策? 国会閉幕後に囁かれる「オールスター内閣改造」は成功するのか