「奴隷のしつけ方」マルクス・シドニウス・ファルクス著 ジェリー・トナー解説 橘明美訳

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 何代にもわたって奴隷を使い続けてきた古代ローマの貴族の著者が語る奴隷管理術――との体裁で現代の研究者が知られざる奴隷制について解説した歴史面白テキスト。

 アテネ社会では市民と奴隷の線引きが厳格だった。一方のローマ人は自由人と奴隷の間に生まれながらの違いなどなく、あるのは力の行使に基づいた不公平でしかないと考える。

 ではなぜローマは奴隷であふれているのか。元老院の意に反して、征服戦争で広大な農地を手に入れた富裕層が、兵役に駆り出される心配がある自由農民に代わって奴隷を買って農作業をさせたのが始まりだという。

 そんな奴隷拡大の背景から、奴隷の買い方や活用法、そして奴隷たちの反乱まで、史実に基づき解説。社畜化した現代人の心も揺さぶる問題作。

(筑摩書房 800円+税)

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