「医療記者のダイエット」朽木誠一郎著

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 体重110キロ前後を行ったり来たりしていた医療記者は、ある日付き合っていた女性に「デブはタイプじゃない」と振られてしまう。本書は、この出来事をきっかけにダイエットを決意した著者が、痩せることの原理原則を理解するところから始め、各種の取材から得た最新科学に基づくダイエットに挑戦した記録である。

 まず、痩せるべきだと分かっていながら、なぜ痩せられないのか。それには、「肥満者は時間選好率が高い傾向にある」というエビデンスが当てはまるという。これは、今日食べて得られる満足度を、将来健康であることの満足度より高く感じてしまうことを指す。肥満者ほど目先の利益を優先しがちで、その理由には肥満によって脳の視床下部に変化が起きている可能性も指摘されているというから恐ろしい。ただし、この変化は不可逆的なものではなく、適切な生活習慣によって改善されることは救いだ。

 さて、ダイエット1日目。その日のメニューはおにぎりと茹で卵1個ずつ、蒸し鶏などのトッピングが入ったサラダでスタートした。一見、むちゃなカロリー制限のようだが、これは「肥満症診療ガイドライン2016」にのっとって選んだメニューだ。肥満症では標準体重×25キロカロリー以下で摂取エネルギーが設定される。著者の身長は175センチのため標準体重は67キロ。当時100キロ超えで立派な肥満症だったため、25キロカロリー×67キロで1日の摂取カロリーは1675キロカロリー以下に抑える必要があったのだ。

 週2日の長い運動より週5日の短い運動が効くわけ、SNSを活用して目先の食欲に対抗するなど、実践したダイエットとその仕組みを詳しく解説。ダイエット開始から150日で30キロ減を達成したその方法をぜひ学びたい。

(KADOKAWA 1400円+税)

【連載】長生きする読書術

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