「倒錯のロンド 完成版」折原一著
推理作家志望の山本は、新人賞に応募するため執筆にとりかかる。しかし、タイトル以外、何も浮かばない。悶々とした日々が続くが、締め切りまで2カ月と迫ったある日、突然、天の啓示を受けたように筆が進み、2週間で400枚を超える作品を書き上げる。
親友の城戸もその出来映えに太鼓判を押し、自らワープロで清書してくれるという。数日後、山本を訪ねてきた城戸の顔が青ざめていた。出来上がった原稿を電車の網棚に忘れ、見つからないという。
一方、忘れ物の原稿を入手した永島は、自分が応募して賞金1000万円を手に入れようと画策。そのために「山本」を自殺に見せかけて殺すことに。
著者が若き日、実際に江戸川乱歩賞に応募した作品を32年ぶりに加筆修正した完成形。
(講談社 800円+税)