「『それから』の大阪」スズキナオ著

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 東京から妻の出身地である大阪に移住した著者による散歩コラム。

 妻の実家近くの天神橋筋商店街の雑多でエネルギッシュな賑わいに移住を後押しされた。しかし、緊急事態宣言が出されステイホームが続く。宣言解除後、廃虚と化した町を想像しながら久しぶりに商店街に足を踏み入れると、朝9時から営業している居酒屋にはいつものように酔客たちの姿が見える。変わっていたのは天井から吊るされたビニールシートだけだった。その光景にどんな状況であれ、人の営みは続いていくことを教えられる。

 ほかに、創業40年の歴史に幕を下ろすことになった立ち飲み居酒屋「こばやし」の最後の日々に密着するなど、コロナ禍によって変貌する街と、疫病に負けず平然と生きていく人々の姿を見つめる。

(集英社 924円)

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