「ロシア文学の食卓」沼野恭子著

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 ロシア文学に描かれた食卓の風景を通して、かの国の食文化を紹介する面白エッセー。

 19世紀前半に活躍したゴーゴリは、「偉大な作家になっていなければ、芸術的なシェフになっていただろう」といわれるほどの健啖家だった。その代表作「死せる魂」には、主人公の詐欺師・チチコフが各地で口にする食べ物がちりばめられ、まるで食道楽紀行のようだという。冒頭から、旅籠に到着したチチコフが食事を注文するシーンが登場。ピロシキやシチー、エンドウを入れた脳みそ料理など、まずは前菜が次々と運ばれてくる。

 各作品に描かれる料理は、前菜にはじまり、スープからメインへとフルコースを読者に提供。

 各料理を紹介しながら、食を通しロシア文学の奥深い世界を案内する。

(筑摩書房 1045円)

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