「カルトの花嫁」 冠木結心著

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 始まりは、著者が高校生のときだった。突然、母親がとある宗教を信じ始め、数万円の数珠を購入するなど、まとまった金を使うようになったのだ。道場に通い、どっぷりとはまっていく様子は、子供の目から見ても明らかだった。

 やがて、著者はそれが世間を騒がせている統一教会だと知る。しかし、機能不全の家庭に育った著者は、かわいそうな母への親孝行になると信じ、勉強会に参加。そこで出会ったスタッフの優しさに心を打たれ、母と同様に信仰を中心とした生活に入っていく。

 高校卒業後は働きながら信者らと共同生活、祝福献金140万円を払って合同結婚式へ。2歳年下で19歳の韓国人と“祝福結婚”したが、夫のDVに耐えられず娘を連れて離婚。28歳のとき、2度目の祝福結婚をし、韓国の片田舎で新生活を始めるが、待っていたのは過酷な日々だった……。

 10代で入信し、20年を統一教会に翻弄されたカルト2世がつづったノンフィクション手記。献金と教義による支配、日本人であることへの罪悪感の植えつけなど洗脳されていくさまがリアルに伝わる。信者の自己犠牲の上に成り立つカルトの世界が、われわれのすぐ隣に存在していることに改めて恐ろしさを感じる。

(合同出版 1540円)

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