戦争を語り継ぐ

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「『特攻』を子どもにどう教えるか」山元研二著

 12月は日米開戦の月。ウクライナ紛争の現代、クリスマス気分の陰で戦争体験を語り継ぐ意義を見つめ直す機会だ。



 鹿児島県の知覧特攻平和会館は、県内外から小中高校生らが多数見学に訪れる。そこには特攻作戦に駆り出された若い航空兵らの遺書が多数展示され、その意味を子どもらに説明する引率の教師や親たちの姿も少なくない。

 県内の公立中学の社会科教員として働き始めてまもなかった著者は、30年近く前、この施設で「みんな喜んで出撃していったのです。それを嫌だと思う人はひとりもいなかったのです」と説明する語り部の声に愕然とした。遺書の展示の前でも、若い母親が幼い男の子に「あなたもこの人たちのような勇気を持たなきゃだめよ」と語っていたという。以来、著者は特攻関連の資料施設や遺跡を訪ね、元特攻隊員への聞き取りもおこなうようになる。

 まだ20歳そこそこの身で無謀な戦術に駆り出され、検閲される遺書には苦しい美辞を書くほかなかった特攻隊員たち。特攻隊員を英雄に祭り上げる風潮はいまなお衰えず、むしろ戦争を知らない世代が政権を担当することが普通になるにつれ、広島出身の首相でさえもが軍拡の道をひた走る今日。

 教育現場を知り尽くす著者の指摘は貴重だ。英雄化・神格化は歴史をたやすく歪曲するのだ。

(高文研 2090円)

「パールハーバーの目撃者」カトリーナ・ルクシャフスキー著 山本みづほ訳

 毎年12月7日(日本時間8日)は、アメリカでは真珠湾攻撃の日として忘れられることはない。本書はルーズベルト大統領が「恥辱の日」と呼んだこの出来事を、3歳から12歳までの幼少年期に身近で体験した人々の記憶をたどるノンフィクション。著者は長年、米海軍職員として食品・補給部門に勤務し、日本の米軍専用ホテル(ニュー山王ホテル)にも勤めたことがあるという。

 10年近く前、ハワイの基地に異動した縁で、現地の将校宿舎に住んでいた子ども世代の人々に光を当てることを思いついたのだそうだ。戦争は大人や男たちだけのものではない。ウクライナ紛争でも明らかな通り、“女子ども”も戦争の当事者たり得るのだ。存命の人々20人に丁寧に取材した成果が生きている。

(水曜社 1760円)

「世界史としての『大東亜戦争』」細谷雄一編著

「大東亜戦争」という呼称は右派のものだが、団塊ジュニア世代の政治学者の編著者は、日本史や日米関係史に限定せず、戦争当時の国際関係の大きな局面の中の「複合戦争」だったという。満州事変に始まる「15年戦争」の呼称は左派が主に使ってきたが、編著者によれば大日本帝国憲法(明治憲法)施行の1890年に遡り、真珠湾攻撃の1941年までの「51年戦争史観」への転換が求められているとする。

 明治憲法の時代は英、独、露、清、そしてオーストリア=ハンガリーの各帝国と、共和制ながらも帝国主義の道を走る米仏がしのぎを削っていた。

 つまり帝国主義の絶頂期に極東で「帝国」の名乗りを上げた国として日本を位置付けることで「ありのままに歴史を捉え」ようというわけだ。

 イギリスの歴史家への談話取材も一部に含まれ、国際色豊かな複合的な視野を演出する。「左」が主導した団塊世代と、「右」旋回がめだつジュニア世代の対比を思わせる。

(PHP研究所 1078円)

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