「ポロック生命体」瀬名秀明著

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 研究者の水戸は、友人の今日子から相談を持ち掛けられる。

 今日子の祖父・光谷は、かつて日本のジャクソン・ポロックと呼ばれた抽象画家なのだが、ある人物が今は亡き光谷の作品を人工知能に学ばせて「新作」を次々と発表して、金を稼いでおり、それを止めたいというのだ。その人物とは水戸もよく知る元研究者の石崎という男だ。

 しかし、石崎は人工知能による作品に光谷との類似性を感じるとしても、それは見る人の心に生まれた連想に過ぎないと取り合わない。さらに人工知能の作品は光谷が到達できなかった域に達していると自信を見せる。さらに光谷の晩年の作品も、実は石崎の人工知能が描いたものだという。(表題作)

 絵画や将棋、小説の世界を通しAIと人間の関係に迫るSF集。 (新潮社 649円)

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