著者のコラム一覧
篠綾子作家

1971年、埼玉県生まれ。2001年、第4回健友館文学賞受賞作「春の夜の夢のごとく 新平家公達草紙」でデビュー。著書に「青山に在り」「江戸菓子舗照月堂」シリーズなど多数。

(15)ゆっくりと目を開け「ああ、これだ」

公開日: 更新日:
イラスト・鈴木ゆかり

 十二月二十日は、梅里が仙薫堂に来る約束の日だ。春も近いこの日、朝から雨が降っていた。外出には生憎の空模様だが、練り香を薫くにはちょうどよい。雨の日は香りが強く感じられるのだ。

 乾燥させる線香と違い、練り香は湿り気を帯びた状態で使う。作った後、壺の中で寝かせておく時も軒下… 

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【連載】残り香

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