女性泌尿器科ドクターに聞いてみた"尿トラブル"「おしっこが急に我慢できなくなる」のはどうして?
30代で出産してから、くしゃみをすると尿が漏れてしまうことが時々あり、尿漏れ用のシートをこっそり使っている、と現在50代の知人に打ち明けられた。しかも彼女は40代になり、くしゃみをしたときだけでなく「突然おしっこが我慢できなくなる」症状に悩んでいるといいます。
泌尿器科のHPなどを読むと、出産の後に骨盤底筋が緩むことが原因でくしゃみなどによって「腹圧性尿失禁」が起こりやすくなり、さらに年齢を重ね更年期に入ると急に尿意が起き、我慢できずに漏れる「切迫性尿失禁」も合併した「混合性尿失禁」になることがあるという。日本産婦人科学会によると女性の「腹圧性尿失禁」の4割に「切迫性尿失禁」が合併するという報告もある。
彼女は、トイレに腰掛ける前に我慢できずに下着を汚してしまうこともあるという。これはなかなかの大問題である。だが、「シモ」のこととなると周囲にもなかなか相談しにくい。そこで、「なりた泌尿器科・内科クリニック」院長・成田玲奈医師に、今の状況と改善策について聞いた。(取材・文=森 佳乃子)
◇ ◇ ◇
──まず「おしっこが我慢できない」原因はなんでしょうか。
「おそらくもともとくしゃみをした時に尿が漏れてしまう『腹圧性尿失禁』に加えて急にトイレに行きたくなる『尿意切迫感』、我慢ができずに漏れてしまう『切迫性尿失禁』を伴う状態だと思われます。これを『混合性尿失禁』といい、女性の排尿に関する悩みの大部分を占めています。このタイプは更年期以降に発症することが多く、『尿意切迫感・切迫性尿失禁』をきたす原因疾患としてもっとも多いのは『過活動膀胱』で、これといった特定の原因がわかっていません。神経の病気(脳血管障害やパーキンソン病など)によるものを除けば加齢や骨盤底筋のゆるみ、ストレスや生活習慣など原因不明の『特発性』のものがほとんどです」
ある調査によると、男女平均ではあるものの、40歳以上の12.4%に過活動膀胱の症状が認められると推定されているという。女性の場合には出産や加齢による女性ホルモンの減少が関係している場合もある。女性ホルモンの減少によって筋肉量が減少することに加え、膀胱を支える筋肉そのものが硬くなり、尿を溜めにくくなっていくことが原因だ。(過活動膀胱診療ガイドライン・ブラックウェルパブリッシング2005)
──改善する方法はありますか?
「まずは生活習慣の改善、たとえば便秘や肥満の是正、カフェインやアルコールの制限や水分量の見直し、冷え対策などを行います。また、尿意が来てもすぐに排尿せず、膀胱にためる練習をする『膀胱訓練』や骨盤底筋訓練を含めた理学療法や薬物療法などがあります。重症例には内視鏡を用いて膀胱内にボツリヌス毒素を注入する治療が保険適応で認められています。数日の入院や日帰りで行える場合がほとんどです」
──お薬で治すことはできますか?
「過活動膀胱には一般的にお薬で治療を試みる場合が多いです。膀胱の筋肉の過剰な収縮を抑制して尿意を抑えるお薬を使います。ただし、便秘や口渇などの副作用の他、排尿困難などが生じる場合がありますし、緑内障の方には使用できません。膀胱の筋肉を緩めて尿を溜めやすくするお薬を使うこともあります。症状によっては2種類のお薬を併用する場合もあります」


















