「動物城2333」荷午、王小和著、阿部禾律下訳、島田荘司訳

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「動物城2333」荷午、王小和著、阿部禾律下訳、島田荘司訳

 時は、西暦2333年。動物が進化の末に人間から独立して作った動物王国の首都「動物城」に、人間側の代表である女性大使が和平交渉にやってきた。実は、動物が独立国を作った際、それを受け入れなかった人間との間で120年間も戦争を繰り広げていたのだが、現在戦いは手詰まり状態に陥り、冷戦中だったのだ。

 しかしとんでもないことに、来訪から数日目に、大使は滞在中のホテル内で死体となって発見された。和平交渉に来た大使が殺されたとあれば、動物王国側が宣戦布告をしたと思われても仕方なく、このままでは双方が持つ最新超兵器を使った滅亡まっしぐらの戦争に突入しかねない。

 動物王国で、この事件を一刻も早く解決できる者として白羽の矢が立ったのが、探偵業を営むロバのブレーメンだった。相棒のアグアを連れて調査に向かったブレーメンは、果たしてどんな事件の真相にたどり着くのか。

 原作は、脚本家でゲームクリエーターである荷午とミステリー愛好家で脚本翻訳家でもある王小和の合作による中国の異次元ミステリー。

 動物が繰り広げる奇想天外な推理劇に隠されたさまざまな示唆が深い。 (講談社 2420円)

【連載】木曜日は夜ふかし本

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