「緋あざみ舞う」志川節子著

公開日: 更新日:

「緋あざみ舞う」志川節子著

 向島の船宿「かりがね」を営むお路とお律は、評判の美人姉妹。表の商売が繁盛する一方で、彼女たちには江戸を騒がす「緋薊」という名の盗賊の裏の顔もあった。

 盗みに入る先の男を落とす手腕を持つ姉のお路は、武家の息子といい仲になった妹のお律のことや、幼い頃に失明したため芸で生きていけるよう音曲の修業に出した三女のお夕のことをいつも気にかけている。

 そもそも、お路とお律が裏稼業に手を染めるきっかけになったのは、浜岡城下で廻船問屋「黒川屋」を営んでいた父・久右衛門が不可解な死を遂げたことにあった。武家でもない町人の父親が、何らかの不祥事の責任を取らされて切腹したという話に納得できなかった2人は、ある噂を聞きつけ、父の無念を晴らすべく動き始める……。

「七転び」で第83回オール讀物新人賞を受賞してデビューした作家による最新作。

 美しい花を持ちながら棘のある葉で身を守るアザミの花に、自身の境遇を重ねる美人姉妹が魅力的。生きるために身に付けた知恵としなやかな身のこなしは、まさに大江戸版キャッツ・アイだ。

(文藝春秋 1980円)

【連載】木曜日は夜ふかし本

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    DeNA三浦監督まさかの退団劇の舞台裏 フロントの現場介入にウンザリ、「よく5年も我慢」の声

  2. 2

    2度目の離婚に踏み切った吉川ひなの壮絶半生…最初の夫IZAMとは"ままごと婚"と揶揄され「宗教2世」も告白

  3. 3

    なぜ「愛子天皇」ではダメなのか? 美智子さまが心情を吐露する出版物を準備中…と政界で話題

  4. 4

    鈴木紗理奈以外にもいた…あのちゃんが過去に口にしていた“キライな芸能人”の実名

  5. 5

    嵐が去る前に思い出す…あの頃の「松本潤」と「大野智」

  1. 6

    日本ハムがソフトBに8戦全敗の悲惨…崩壊投手陣が口にする「伏見寅威ロス」

  2. 7

    元サッカー日本代表・大津祐樹さんはビジネスでも成功 年商300億円の高級腕時計会社の社長に

  3. 8

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  4. 9

    DeNAビシエド電撃引退のウラとフロント批判殺到の必然《もうハマスタに行こうとは思わない》

  5. 10

    文科省「教育の政治的中立性」で波紋…なぜ森友学園がセーフで、同志社国際がアウトなのか?