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碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

24時間パロディも NHK「バリバラ」が伝えた障害者の本音

公開日: 更新日:

 今年も「24時間テレビ・愛は地球を救う」(日本テレビ系)が放送された。例によって義足の少女が槍ケ岳に登ったり、耳の不自由な子供たちがマリンバの合奏をしたり。さらにブルゾンちえみの「感動のゴール」もあって、番組終了時の募金総額は約1億2902万円。いや、大したものだ。

 巨大特番がフィナーレに向かう中、Eテレではレギュラー番組の「バリバラ」が生放送されていた。出演者たちは、胸に「笑いは地球を救う」の文字が躍る黄色いTシャツ姿だ。司会の山本シュウが笑いながらクギを刺す。「(24時間テレビとは)VSじゃなく、withですから」。

 VTRも傑作だった。「障害者の夢を実現し感動を分かち合う」という「24時間」風の企画だ。たとえば「山に登りたい」と語る脳性マヒの男性が、山の麓まで連れて行かれ、「さあ、どうぞ」と促される。身動きできない男性は、「頂上から景色を見たかっただけなのに~」と嘆き、「障害者が頑張ってるのを見て面白いですかあ?」と問いかけていた。

 スタジオでは、「本人に、したいこと、したくないことを聞こうよ」といった障害者たちの本音が続出。「やってあげる」ではなく、「一緒に」が大事なのだとわかった。まさに「バリバラ」の精神だ。来年もぜひ、熱い“裏番組”を。もちろんVSじゃなく、withで!

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