著者のコラム一覧
山田勝仁演劇ジャーナリスト

青年座「安楽病棟」 超高齢化社会の“生と死”の問題を凝縮

公開日: 更新日:

 原作は精神科医で作家の帚木蓬生、脚本は杉村春子賞受賞のシライケイタ、演出は気鋭の磯村純。

 舞台は東京郊外の認知症病棟。お地蔵さんの帽子と前垂れをひたすら縫い続ける女性、夫の差し入れするサーモンしか食べない女性、自分を23歳の独身だと思い込んでいる女性、色ボケが進み、女性患者に夜這いをする男性……80代から90代、軽度から重度までさまざまな症状の老人たちが暮らしている。

 人生の夕暮れ時ともいえる曖昧模糊とした意識の中で、平穏に生きる彼らと、その世話をする看護師たち。しかし、ある日、一人の患者が急死。それを境に、不審な死が相次ぐ。偶然なのか、それとも……。

 患者のモノローグと看護師の日記で構成された小説を2幕の舞台劇として構成したシライケイタの手腕が見事。1幕で患者と看護師の日常を淡々と描写することで、2幕での転調、ミステリアスでサスペンスフルな展開が生きてくる。

 物語の核心は終末医療、中でも「安楽死」をめぐる問題。とはいっても単なる謎解きではなく、今日本が抱える医療制度、とりわけ終末医療問題を見据えたもの。「人間存在とは何か、命とは誰のものか」を見つめた作品なのだ。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    佐野勇斗は書道六段で英語も堪能 愛知県立岡崎西高校から明治学院大英文学科へ

  2. 2

    これが日本の「中流」サラリーマン転落の軌跡 年金の「繰り上げ受給」を選ぶのは、お金と仕事がない人

  3. 3

    ドジャース大谷翔平「サイ・ヤング賞&首位打者」同時授賞に現実味 4年連続5度目のMVPは既定路線

  4. 4

    「Aぇ!group」草間リチャード敬太は事件から“ほぼ復活” 大阪学院大で学んだ苦労人の前途

  5. 5

    「シニアにやさしい街」日本一の東京都板橋区は何がスゴイ?

  1. 6

    嵐の大野智と相葉雅紀、二宮和也が通信制高校で学んだそれぞれの事情

  2. 7

    阪神・藤川監督に「裸の王様」の懸念 選手&スタッフを驚愕させた「コーチいびり」

  3. 8

    山口組、稲川会、住吉会…最高幹部3者の極秘会食で何が話し合われたのか

  4. 9

    JR東海が政府に安定供給要請も「潤滑油」は代替調達が困難…このままでは日本の鉄道網も危ない!

  5. 10

    阪神藤川監督「オラつき」連発に対戦相手やファンから苦情の嵐《格好いいと思っているのかな》