著者のコラム一覧
細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

「キックの鬼」こと沢村忠の原点は中国武術と芸能への憧れ

公開日: 更新日:

「なんとなく覚えていますよ。白羽君が劇団に入っていたことも、役者を志していたことも。ただ、そのことが特に強く印象に残っているわけではないんです。というのも、青山という土地柄もあるかもしれないんですが、当時は芸能の道を目指す子は珍しくなかった。劇団に入ったり、歌や踊りの教室に通ったり……戦後ですからね。大変な時代でしょう。親も必死でね。『子供に一芸を身に付けさせて、少しでも稼がせよう』、そう考える家が多かったんです」

「芸能の道を選択するのは、“山の手”の家の子が多かった」という別の証言も筆者は聞いた。“山の手”とはすなわち「上流階級」と言い換えていい。特に華族制度が廃止されたこの時期、小桜葉子(岩倉子爵家)、久我美子(久我侯爵家)、河内桃子(大河内子爵家)ら、旧爵位家の子女が女優になっているのは、つとに知られた話である。

 青山という“山の手”のど真ん中に住んだ白羽家の次男、白羽秀樹が映画スターへの道を夢見ていたのは、ごく自然なことだったのかもしれない。そして、チャンスは意外と早くにやって来た。 =つづく

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本は強い国か…「障害者年金」を半分に減額とは

  2. 2

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  5. 5

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  1. 6

    侍Jで加速する「チーム大谷」…国内組で浮上する“後方支援”要員の投打ベテラン

  2. 7

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」