「プロジェクトX」司会の元NHKアナ国井雅比古さんが明かす「スタジオから緊急入院したことも」
国井雅比古さん(元NHKアナウンサー/76歳)
先週に引き続き、NHKの看板番組「プロジェクトX」の司会者だった国井雅比古さんに思い出と近況を聞いた。(前後編2回の後編)
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「プロジェクトX」の放映開始は2000年3月28日。一緒に司会を担当したのは初代が久保純子アナだったが、翌01年から産休に入り、代わって10月からは膳場貴子アナが国井さんの横に座った。
「久保さんは入局当初、僕が研修で指導した教え子で、年齢も離れていたので、まさか一緒に番組をやる日がくるとは思っていませんでした。重いテーマの番組なのに、彼女は素直な反応でサラッと受け流すのが上手でした。一方、膳場さんは線が細く、収録後にみんなで打ち上げにいったときに、感情が高ぶっているのか泣くんです。『プロジェクトX』のような重い番組は難しいのかなと心配していました。でも、NHKを離れた後も活躍を続け、今はTBSの『サンデーモーニング』で個性のある人たちの中心になって番組を作っている。たくましくなったんだなあと思いながら見ています」
■「中島みゆきさんは天才ですね」
「プロジェクトX」といえば、主題歌「地上の星」とエンディング曲「ヘッドライト・テールライト」も欠かせない。18年ぶりに復活した「新プロジェクトX」でも引き続き視聴者の心を揺さぶり続けている。
「作詞・作曲された中島みゆきさんは大変な天才だと思いますね。25年前、まだ企画の段階で、“名もなき人たちの物語です”という番組のイメージをご説明しただけで、あの2曲を作られたのですから。番組にピッタリで、われわれ制作側は歌の世界観から影響を受けた面もあったと思います」
さて国井さんは「プロジェクトX」終了後の06年2月、57歳を迎えてNHKを定年に。その後は契約アナウンサーとして、紀行番組「小さな旅」などに出演。情報バラエティー番組「団塊スタイル」(Eテレ)が17年に終了した後は単発でナレーションなどを担当している。
また局員だった00年から、故郷・山梨県都留市の市民サークル「ペレポロの会」で月1回朗読の指導を行い、この6月には発表会を行った。
「12年からは、飲み屋でたまたま知り合った、荒生さゆりというプロに勧められシャンソンを始めました。13年に僕は胃がんで胃の3分の2をとったのに、その2カ月後には荒生師匠と一緒にステージに立ち、10曲歌ったんですよ(笑)」
胃の手術をしたためか、国井さん、少し痩せたようだ。この6月まで「日本トレッキング協会」会長を務め、山登りも趣味としてきたが、近年は体力を考慮し自重しているという。