最新回の朝ドラ「あんぱん」ウラの見所~最終回。半年間、2人を見守ってきた視聴者にはグッとくる場面…ま、終わりよければすべてよし!
第26週「愛と勇気だけが友達さ」#130
【朝ドラのツボ!】
のぶ(今田美桜)の病室に着いた嵩(北村匠海)は、にっこり笑うのぶの姿に胸がいっぱいになる。その後退院したのぶは、嵩に自分がいなくても大丈夫かと尋ね、今年の桜は見られないかもしれないとつぶやく。
そんなことないと打ち消すように話す嵩は、たまらずのぶを抱き寄せる。やがて日本中の子どもたちのヒーローになったアンパンマン。のぶは最高の笑顔で嵩に言う。「嵩は、うちのアンパンマンや」と――。
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【本日のツボ】
突如現れた謎のわんこ
※※以下、ネタバレあります※※
最終回はほぼのぶと嵩、2人のシーンでした。のぶの手術から1週間後、病室に向かう嵩。そこにはたくさんのアンパンマンとドキンちゃんのぬいぐるみが…。やはり、病室ということで、ばいきんまんは出禁(!?)のようです。
今では山ほどあるアンパンマンのぬいぐるみですが、初期のものはこんな感じだったのでしょうか。なにやら手作り感満載で、どこかの国で売っているバッタモン感が…。
のぶはそのぬいぐるみを看護婦(現看護師)さんたちにプレゼントをしているらしく、1番人気はドキンちゃんなのだ、と嵩に伝えていました。
それを聞いた嵩が「僕も好きだよ、ドキンちゃん」と言うと、「どこが?」とのぶ。「いっつも元気なところや、決してめげないところ」と。それがのぶと重なり、半年間、2人を見守ってきた視聴者にはグッとくるものがありました。
「今年の桜は一緒に見られんかもしれん」とのぶ。そして、「嵩さんはほんまに優しい。こんなに優しい人がおるらぁて、その人のおかみさんになれるらぁて、うちは世界一、幸せもんちや」と。
おかみさんって、それまで、みんな奥さんって呼んでいたので、突然の“おかみさん”に若干の戸惑いを覚えましたが…。
のぶ、ドキンちゃんの面目躍如
「嵩さんは、いつもうちの心を明るく照らしてくれた。お父ちゃんがのうなったときも、自分が生きちょってえいがかわからんなったときも。どんなときも格好つけんと、弱い自分を見せてくれた。やき、うちは救われたがよ。そういう、たっすいがぁの嵩が大好き!」
そんなふうに語るのぶを、嵩がぎゅっと抱きしめました。
「ねえ、のぶちゃん、教えてくれないか。ぼくは何をしてあげられるのか」と嵩に聞かれ、「ほいたら、うちの一番好きなあの歌、歌うとうて」とのぶ。リクエストに答え、嵩が「アンパンマンのマーチ」を歌うと、「嵩さんが初めに書いた歌詞、それがいい」とむちゃぶりするのぶ。
のぶの命の期限があとわずかだと知っている嵩に、そんなムチャぶりをするのぶ、ドキンちゃんの面目躍如といったところです。
「♪そうだ、うれしいんだ生きるよろこび。たとえ命が終わるとしても……」
「うちの残りの命、嵩さんにあげるきね」とのぶ。
そんなふうに美しい“夫婦愛”で終わっていくのか…と思ったら、朝ドラ「あんぱん」の秘儀、すっ飛ばしを最後の最後でやってくれました。
それから5年間、のぶは元気に暮らせることができました。仲良く犬の散歩をする老夫婦。あれれ、犬なんて飼っていましたっけ? 見た目は老けても、声の若さは隠しようもなく…。なにかいろいろ託されていた中尾星子(古川琴音)はなんだったのでしょう。時間配分、これで合っていますか?
ま、終わりよければすべてよし、ということで。林田アナがはやらそうと頑張った(!?)「ほいたらね」ですが、「じぇじぇじぇ」のようにはいかなかったようで……。
(桧山珠美/TVコラムニスト)