病院選びのそれぞれの「環世界」…岩手や新潟から新横浜まで受診に
皆さん、それぞれ一定の空間で生活しています。生活圏というべきでしょうか。頭の中に刻まれた地図があり、その範囲で動き回り、生活しています。家の中で飼われているネコ君なら、彼にとっては家の中の空間が全宇宙です。動物の場合、これを個々の動物固有の「環世界」と呼ぶそうです。
人間も同じです。患者さんの病院や施設選びも、そういった患者さん固有の環世界がかかわってきます。「遠い」と思うか、「近い」と思うか、環世界が影響します。遠方でも「むかしこの辺に住んでいた」とか「このあたりの学校に通っていたんですよ」となれば「近く」感じます。
交通手段は「距離感」の重要要素です。神奈川県の県央地域の場合、小田急線沿線なら「お買い物」は新宿へ、東急田園都市線沿線なら渋谷へ、相鉄線なら横浜へ。
私が小さいころに住んでいた奈良県橿原市は、奈良県の中央にあり、出かけるなら100%大阪。でも、北にある奈良市の人はさらに北方の京都に出かける人が多かったようです。
壬申の乱では大津を攻めようとした大海人皇子は、高市皇子とともに吉野から北上せず、わざわざ鈴鹿、美濃を回って西に転じ、大津を攻め勝利しました。