「もっとチヤホヤされたい」芸能界を夢見た25歳の現実。売れないホスト→ヒモ生活…東京での夢は叶った?

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コクハク

田舎で終わりたくない

 東京一極集中などと言われるなか、近ごろ増えているのは「東京に行きたい」という若い男性たちです。なかには、特に当てもないのに上京してしまう人もいるほどです。彼らが東京を目指す理由はどこにあるのでしょうか。

【内藤みかのあたらしいのがお好き】

 まずは良く見かける事例を紹介します。Aくんは25歳。西日本のとある島の農業組合で働いていましたが「ここは自分のいるところではない」という思いが日に日に強くなっていきました。神戸の情報系専門学校で学んでいた頃はかなりモテて楽しく過ごしていたので、あの頃に戻りたいと考えるようになったのです。

 親の勧めもあり、就職は島で決めましたが、もっと遊びたかったといううらめしい気持ちと、組合の仕事で一生を終えるのはいやだという考えが出てきました。もっと華やかな場で、皆にかっこいいとチヤホヤされる人間になりたかったのです。

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東京で自分を試したい
 神戸に戻ることも考えましたが、親しかった友人はあちこちに移動してしまっていて、もうあまり残っていません。そのため大阪も検討しましたが、どうせなら東京に行きたいと思うようになったのです。

 東京は日本の中心で、仕事もたくさんある。そう考えたAさんはまずは一度上京してみることにしました。目指したのは表参道のとある通りです。そこは芸能事務所のスカウトマンが何人もいて、有望な人には声がかかると言われているためです。

芸能オーディションに挑戦

 25歳、芸能界でデビューするにはギリギリの年齢だと考えたAさんでしたが、何度その通りを往復しても、残念ながら誰からも声がかかりませんでした。しかし芸能活動をしてみたいという自分の欲求に気づいたAさんは引っ込みがつかなくなってしまったのです。

 そこで芸能事務所のオーディションを受けまくり、書類選考が通った小さな事務所の面接を受けに再度上京します。そこでは合格はしなかったものの、事務所運営のタレントスクールのレッスンを割引で受講させてくれると言われました。

シェアハウスで生活

 まずは夏休みを利用して数日間の短期レッスンを受けてみることにしました。安いネットカフェで寝泊まりしながら受けるボイストレーニングなどが楽しく、やはり自分が進む道は芸能しかないと思いを新たにしたのです。

 しかし本格的に上京するとなると、レッスン代だけでなく、家賃や生活費が必要になり、かなりお金がかかります。シェアハウスを利用するとしても今のAさんの貯金では1年ももたないと思われました。

 けれどその1年のうちにタレントとして仕事を得て有名になればいいのだとAさんは親の反対を押し切り東京で暮らし始めます。

お金が尽きそうになり……
 けれどタレントの仕事を得ることは全然できず、すきまバイトなどしながら頑張ってもお金の限界が近づいてきました。そんな折、新宿駅でAさんに声をかけてきた人がいました。それは芸能界ではなくホストクラブのスカウトでした。

 初めてスカウトされた嬉しさからホストクラブで働き始めましたが、昼夜逆転の生活になり、レッスンもサボりがちに。そしてなかなか指名も得られずホストも3ヶ月ほどで辞めてしまいました。

ネットでその日暮らし

 今、Aさんは、ネットですきまバイトや短期バイトを探しながら、パトロンになってくれる女性がいないかとマッチングアプリで探しています。

 もはや芸能の夢もあきらめ、ヒモになって女性の部屋で同居できれば家賃や生活費は要らなくなる生活だけを求めているのです。しかしお金を出してくれる女性はなかなか見つかりません。

 Aさんのように、東京でいい思いをして暮らしたいと考える男性たちが「上京したばかりです!夢があるので応援してください!」とマッチングアプリで訴えています。その数は増えているので、ターゲットとされる年上女性は慎重な判断が必要になって来るでしょう。

(内藤みか/作家)

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