「デフォルトの設定」によって意思決定は変わってくる
私たちが何かを決断するとき、「あらかじめ選ばれている(デフォルトの)選択肢」が意思決定に大きな影響を及ぼすことを示す、コロンビア大学のジョンソンとゴールドスタインの研究(2003年)が存在します。
2人は、被験者に対して臓器提供をするかしないかといったデータ分析によって、意思決定の傾向を調べました。その際、次の2つの聞き方で意思を確認したといいます。
①何も手続きをしなければ、自動的に臓器提供者になるルール(もし提供したくなければ、自分で「提供しない」と意思表示をする必要がある)。
②何も手続きをしなければ、臓器を提供しない人になるルール(もし提供したければ、自分で「提供する」と意思表示をする必要がある)。
つまり、前提として「提供する」「提供しない」の差異があるということです。その結果、前者は86~99%という非常に高い割合の人が、臓器提供に同意しているのに対し、後者は臓器提供に同意する人の割合は4~28%と、極めて低い結果になったといいます。デフォルトの設定が、「臓器を提供する」になっているだけで、同意する人の数が圧倒的に多かったというわけです。人々は、わざわざ手続きをして設定を変えるのが面倒だったり、「これが推奨されていることなのだろう」と勝手に感じたりする傾向があるのです。